「建築家になりたい君へ (14歳の世渡り術)」を読みました。
有名建築家、隈研吾さんの見方や考え方は変わっている。
もっと言うとひねくれている(ご本人も自信をひねくれている自覚あり)。
これがこの本を読んだ第一印象。
どうして他の建築家と彼は違うのかがこれを読んで少しだけわかったような気がします。
街歩きやビル、建物を見るのが好きな人はこれを読むともっと面白い見方ができるのでおすすめ。建築家になりたい人でなくとも楽しめる一冊です。
【ブックレビュー】建築家になりたい君へ 隈研吾って何がスゴいの?違いがわかる5つのポイント
本の内容
最初は彼の生い立ちと建築との出会い。所々に有名建築家について彼の考察。そして大学、社会人、ニューヨーク留学、独立、国立競技場までの流れ。
少しだけわかった5つのこと
本全体を通して、印象に残ったことを5つにまとめました。
✔原罪意識
彼の最大の罪は建築を作ること。
これはおもしろい考え方。キリストの「人は生まれながらに罪を背負っている」という考え方を彼も持っています。もしこれを知らずに建築を作っていたら、もっと大罪を犯していたと。
✔時代と建築
建築にはその時代が反映されているという考え方。
たとえば高度経済成長のときのnLDK住宅。
これは人の数だけのn→部屋とLDKの家のこと。
子どもは部屋に閉じこもり勉強して、いい成績を取ることを社会が求めてた時代。それに合った家の作りがこのnLDK住宅。
今はリビング学習が主流で、その分寝るだけの子供部屋はコンパクトに。
他にもモダン建築、アメリカ建築など時代背景と建築はリンク。
このような時代の今を読み解く力、それを表現する力も必要なんですね。
✔流行りにのらない
今の流行りはずっと続かない。
モダン建築やコンクリート打ちっぱなし、今ならガラスを多用した建築を真似る人が増えてきている。彼はその時代の流行りにのることに苦言を呈しています。
流行りにのらず、時代とその土地の特色を生かす建築。
那須の石の美術館、中国の竹、新潟の市役所、国立競技場と彼の建築はそれぞれ全く違う顔を見せてくれます。
共通点はそのどれも住民や来場者、一緒に仕事をした人たちの評判がとても良いということ。この評判がまた違う仕事を世界中から連れてくるから評判(口コミ)はとても大事なんだとか。
ちなみに、近隣住民の方に受け入れてもらえるようにコミュニケーションをしっかりと取るために飲みにケーションが有効らしい。
己のスタイルに固執せず、その時代や土地を読んで作り上げる。周囲を巻き込む。それこそが彼を世界で活躍する建築家へと押し上げた要因のひとつ!
竹屋 Great (Bamboo) Wall | 隈研吾建築都市設計事務所
✔話す力
どんなにいい設計をしても、同意を得れないと意味がない。
そのためには図面にうぬぼれず、相手の立場に立って話す。
確かに一般な人からするとイイ図面は見てもわからない。コンセプトばかり語られてもピンとこない。話術で脳に心地いいストーリーとイメージの共有ができればそっちに流れそうだなと思ったり。
✔自主的に動く
子ども時代、なにかを父親に買ってもらうときはなぜ必要なのかを文字にする。そして買うとなったら次はどの機種が自分にふさわしいか調べて、それを文章にしていたんだとか。
これ、マークザッカーバーグも同じ!
目的意識と自主性を育てるのにいいんだとか。
たとえば、子どもが「空手やりたい」って言い、親がなぜかを問う。
その答えが「〇〇も通ってるから」だとダメ。
「強くなりたいから」など能動的な目的意識があればオッケー。
話はくまさん(´(ェ)`)に戻すと、彼の父親の育て方と、大学院時代の研究室の教えないやり方が良かったとのこと。
morinos 岐阜県立森林文化アカデミー 森林総合教育センター | 隈研吾建築都市設計事務所
おわりに
隈研吾さんが「丹下健三さん大好き少年」だったと知り嬉しい!わたしも丹下健三さんは好きで彼の建築を東京と香川でいくつも見ました。
重厚で武骨な建築の丹下健三さん。
その対極のような妹島和世さん。本では隈さんが名出しで批判してましたが、わたしは好きです。ガラスに華奢な柱。建物がきれいで、かわいくてうっとりします。
雑誌BRUTUSのアートや建築、住宅特集が好きで、実際に建物や建築は割と見ている方です。
それぞれの建築家に特徴があるのに、隈研吾ってよくわからない。でも有名だなと思っていました。強いて言えば木の感じが特徴のような。
Casa BRUTUS特別編集 死ぬまでに見ておくべき100の建築
今回この本を読んで、隈研吾の他との違いがわかりました。隈さんの考え方を理解した上で街を見れば普段と違って見えます。専門知識がいらずすぐに読み終えました。おもしろかったです!
最後までお読みいただきありがとうございました。